溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

「くすぐったい!!」



私が振り返り,耳を抑えて絞り出すようにそう言えば,凪は何故か驚いた顔をする。

そして,口元を隠してふいっと私から顔を背けた。

私,何かおかしな顔でもしてた?

疑問に思いながらも,私は凪の隙をついてソファーから立ち上がる。



「もう乾いた!」



そして,私はドライヤーのコンセントを抜いて凪に押し付け,その背中をくいぐい押しながら凪をリビングから追い出したのだった。