はい。ここで注目するべきは,凪に頼んだと言うところではありません。皆さん間違えないように。
頭の中でつり上がったメガネをかけた私が言う。
ダブルデート。
問題は,どこのペアとの,ということ。
話は一先ず分かったけど……
「なっ凪…頼んだって,料理して帰るとか,1日いつも通りそばにいるとかじゃ,ない?」
もしかして,と震える声で訊ねれば,凪は笑って頷く。
お母さんの…バカ。
「凪,どこで寝るの」
我が家に空き部屋なんて無い。
「一応ぱぱさんの部屋使いたかったら使ってって言われてる」
さらっと答えた凪に呆れて,使いたかったらという言い回しにお母さんの思惑を感じて,私は結局何も言わなかった。



