溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

「ううん! 私はいい!」



持ってきたまま所在なく隠し抱えていたお見舞い品。

私はそれをここぞとばかりに凪に渡す。



「……冷えてるよ」



凪の前に掲げたそれを,凪は目を丸くして受け取った。

その無防備な表情を見ていると,凪はありがとうとキャップをあける。



「あのね,プリンもあるよ」

「……ほんとだ。ありがとう真理。」



風邪しなくたって,凪はプリンが好き。

飲んだ後,時計に視線を移した凪は少し困ったような顔で私を見た。



「真理,もう遅いみたいだけど……どうして僕の所に? お見舞いに来てくれたの?」

「うん……そう」



少し違うと言っていいのか分からない。

そわそわと,私は左腕を擦った。