溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。





早く帰らなくちゃ。

そう私が前の2人を追い抜いて走ったのは,凪からの連絡に気がついたから。

……熱?

凪が……?



『朝,連絡もなく1人で行かせちゃってごめんね。熱っぽいみたいで目が覚めなくて……母さん達も早くに出たから,伝えられなかったんだ』



そんな連絡がお昼だったのは,きっとそれだけぐっすりだったってことだと思う。

ごめんねなんて,凪ならきっと電話を選ぶのに……

それはこの学校が,基本的にスマホに触れる事を禁止しているから。

こんな時間になっても次の連絡がない。

だから,凪はまだ治ってないのかもしれない。

早く,帰らなくちゃ。

十分遅いけど,今気付けて本当によかった。

顔も見たくないって,そんなつもりで来なかったんじゃないんだ。

そんなただ臥せていた人に,私は……

いつも自分の事ばかり。

だから自分のせいなんて自分中心な考えになる。

両親が帰ってくるまで,家でただ1人の凪。

そんな体調不良の凪にも気付けなかった。

どうして凪みたいにただごめんと伝えることが出来ないの。

どうして,本当は好きだったからだって,たったそれだけ言えないの。

凪がいつ私から離れようとした?

凪がいつ私を嫌いだと言った?

ごめんね,凪。

早く,良くなって。