溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

互いに気がすむと,私の最後の一息を合図に,そっと離れた。



「じゃあ,今日は帰るね。ばいばい,真理。また明日。真香,帰ろ」

「うん。待ってね千夏。じゃ~ね,真理。また明日!」

「うん,ばいばい」



私を見ながら振り返った千夏くん。

ぶんぶんと手をふる真香さんに,それにいつも通り弱く返す私。



「……え?」

「手,繋がないと,今までと一緒でしょ。俺達,もうカレカノじゃん。まだ嫌だったりしたら,いいけど……」

「い,嫌じゃっないよっ」



真香さんを見もしない千夏くんと,恐々と少しの嬉しさを滲ませて手を差し出す真香さん。

そんな二人のたどたどしい会話が聞こえて,私は少し羨ましく思った。

いきなり逢うなんて出来ないと,少しでも壁を低くするために私はスマホを出す。



「……あ」



これは,あの2人のお陰なのかもしれない。