溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

「私でいいの?」

「うん。俺は真香の事が好き」

「ほんとに?」

「そう」

「……ううん」



真香さんは,背伸びをして。

泣きながら,千夏くんの首にしがみつくように抱き付く。



「本当は聞いただけ。今は嘘でもいいの,私。彼女でいいって,私,ほんとに嬉しい」

「嘘じゃないよ」

「うん,知ってる。もっと嬉しい。……でも,作戦まだ一杯あったのに」



作戦……?

入り込めないどころか,帰った方がいいのかとまで思えてしまうこの状況で,私は2人を見守っていた。

嬉しそうに抱き付く真香さんに,千夏くんが困ったような顔で照れ,頬を染めている。



「どうしたら千夏に好きになって貰えるかなって,心優と美希とあゆな,打ち明けたら皆考えてくれたの」

「……じゃあそれ,勿体ないからやってよ。俺も,真香が喜ぶようなの,考える」



今はいらないや。

そう幸せそうに笑った真香さん。

千夏くんから受け取ったハンカチを片手に,今度は何の前触れもなく私へ走った。