溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

「何で分かったの,千夏」

「え? 勘。真香こそ,何でいっつも鉢合わせて隠れてんの」

「そんなっの……したくてしてるわけじゃ……」

「うん,別に毎回困ること話してないけど」



ハンカチを取り出し,自分の服で慎重そうにはたいた千夏くんは,自然にそれを真香さんの右目に当てた。

無抵抗の真香さんはまた1つしゃくりあげる。



「聞いてたんだよね? 一応全部」

「……う"ん。部室の方から,歩いてきて……」

「俺,真香の事,好き」

「う"んんん"」



水泳のようにはっと息を継いだ真香さんを,千夏くんはゆっくり待っていた。

そして



「だから,付き合ってください。友達じゃなくて,俺の彼女になってください」



全て伝え終わった千夏くんが,また真香さんの反応を窺う。

真香さんはまだ,現実を飲み込めないように何度も喉を飲み込んでいた。