溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

「おう! こちらこそ!」



ん,と差し出された手。

合ってるかなと疑問に思いながら,私はそろそろと右手を差し出した。

その途端ぎゅっと勢い良く握られて,私は思わず声をあげる。

追い討ちのように,それでも尚ぎゅっと握られた手に,私はぱちぱちと瞬いた。

驚きながらも千夏くんを見ると,とても真剣な顔をしていて。

私と目が合ったのを分かると,安心させるようににぱっと笑う。

……?



「真理,大丈夫だよ。あの人は真理の事,嫌いたくても無理みたいな顔してるから。何したか知らないけど,謝ったら許してくれるし,試しに手でも広げたら,すぐ抱き締めてくれる」



嫌いたくても無理な顔。

って,どんなんだろう。



「……そう,かなぁ」



いつもの凪ならきっとそう。

今も,そうかな。

臆病な私は,真っ先に他人の千夏くんに答を求めてしまう。

分かるはずなんてないのに,千夏くんがあんまり迷いなく私を励ますから。



「そうだよ! あの人,多分真理の事めっちゃ好きだから」



また1つ,粒が落ちるんだ。