溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。



「真理って……え? 嘘でしょ? この子が?!」



ちょっと待ってと,必死な様子で凪の背中に語りかける山本さん。

私……?

と振り返れば,凪はそんな私の背中を押す。



「それが何か?」

「あの子がこの子が……って,散々惚気て優先してた宝物が,こんな子供みたいなちんちくりんだって言うの?!」



悪気ない純粋な驚きで見開かれた瞳。

一目で分かる,頭の先から爪の先まで気を使われているその人からの視線は。

今まで受けたどんな視線よりもこわくって,ネジみたいに深く私の心臓を突き刺した。



「……真理,さん? 今いくつなの」

「山本さん」

「……もうすぐ,16になります」



ヒヤリとした凪の空気を引き裂いて,私の背を押す凪の腕に手をぐっと置き。

私は振り向いて,震える声で答える。

凪は驚いたのか,私から手を離して,少しの沈黙を落とした。



「やっぱり,まだ高1……え,じゃあ,数年前なんてまだ中学生……最近ならともかく……ええ?」



目の前で困惑したように指を折る彼女。



「っ~どうしてなの?! 普通,そんな年下の子なんて視界にもはいらないものじゃない! 私だって,私だって近くにいたのに?!」