小さくなった真香に,分けも分からず否定する俺。



「いや,謝ることじゃ……! 俺も,その……」



それだけは違うと,はっきり分かった。



「つまり,その,私は。千夏のことが,好きです……だから……がん,ばり……ます……」



カッと赤く染まった顔。

きゅっと閉じられた目蓋に,動揺した。

真香は,俺のことが,好き……

ようやく頭に浸透した事実。

真香に釣られて,俺の耳まで熱くなる。

? と窺うように見上げた真香。

ふと,見たことの無い顔で嬉しそうな表情を浮かべた。



「そうゆう反応してくれるってことは,今告白したのが女の子だって事くらいは,分かってくれてるってことだよね?」



……それくらい,知ってる……。



「……ぁっ」



今までの比にならないくらい,やっちゃったと言う赤なのか青なのか分からない真香の顔。

気まずげに俺から逸らされた視線を不思議に思って辺りを見ると



「……ごめん,千夏。ちょっと目立っちゃったかも…。もう,帰ろっか」


純粋な子供の目と,大人のポカンとした目を多く拐っていた。

真香の恥ずかしそうなはにかみに連れられて,急いで公園の出入り口へと向かう。

その表情と揺れる髪の毛を見て,俺は今まで真香の何を知っていたんだろうと思った。

俺が見ていたのは,全部。

真香のほんの一部でしか無かったから。

だから,真香に隠されていた真香に,俺は気付くことすら出来なかった。

もうとっくに,真香は俺が知っているだけの,真香じゃない。

幼馴染みの女の子は,もういない───。