色んな条件を付けながら,真香は無理にはにかんで笑う。

俺は何て答えるべきか分からなくて,1つも入ってこなかった。

急すぎるなぁと,素直な心が戸惑う。



真香とは,ずっと一緒に育ってきて。

ずっと大事な存在だった。

ほんとはどう思ってんのとか,余計な口を挟む人がいたとしても。

いつだって真香に庇われて,真香が怒ってくれた。

なのに,俺とはいたくないと言う。

当日になって初めて,突然今日が最後とか言ってくる。



「化粧も髪も服も,なんか意味があるの?」



いつもは綺麗に纏めてあるだけの髪が,くるくるとウェーブして高めに結んであって。

服はいつもより色が多くて,好きだけど遊ぶ時は邪魔だと付けていなかったブレスレットが手首にはある。

そして,いつもは睫毛が長いくらいなのに,今日は丁寧に一目で分かる化粧がされていた。

格好なんて好きにしたら良いと思って,特に何も言わなかったけど。

全部,俺から離れるためだったら?

2人で1つだった関係から,1人で生きていこうって他所を向いただけだったら?

そんなの,いやだ。

もっと女の子らしく,遊んでないで色々経験したい。

とか

彼氏が欲しい,出来た,とか。

連想されるのは,俺とじゃ無理だって言葉ばかり。

どんな理由でも,本当にそうだからこその真香の言葉だと思う。

でも,じゃあ突然置いていかれたようなこの気持ちは,どうしたら良いんだろう。