溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

初めて訪れる場所の景色を,私はくるくると見渡した。

なるほど,と思いながら,今度は前に並ぶ大人を見る。

ここは,とてもいい場所だ。

見た目の落ち着いた家々,静かな空間。

森に囲まれ,気持ちのよい日に当たる。

目の前に広がる田畑に,他人目線で切なさを感じた。

山を登って来たというこの場所には,用もなく人は来ないのだろう。

簡単なお店ひとつない。

知名度すら低いのに,用なんて出来っこないんだ。

山田さんという方が,よくある定型でお礼の言葉と説明を述べる。

私達が世間に与える影響なんて,微弱にも無いのに。

大変だ。

その上,人が少ない。

前に並ぶのは皆お歳を召した方で,女性も1人。

あれ,若い男の人が2人いる……

綺麗に微笑むその人たちは,どこか地域の方とは他人に見えて。

注視していたら,本当に他人だった。

1人は市から派遣された人,もう一人は活動の様子を撮りに来たカメラマン。

と,そんな事ばかりに意識を向けていたら。

やっぱり,女性が少なく,住民も若くて40を越えているのだと話された。

公園のひとつでもあって,簡単なイベントでも開催されたら……

そう見えない向こう側の景色を眺めるも,そんな施設を作るお金があるなら,こんなに困ってないんだろうなと思う。



「はい,じゃあA班からー」



いつの間にか,形だけのお話が終わって,予定通り各々が散る。