「そんな!ち、違います」



慌てて首を振った。

それでも西原くんの表情は曇っている。



(どうしよう……、違うのに)



どう言おうか考えていると西原くんが、
「……ごめん、言いづらいよな?」
と呟いて、俯いた。



困ったような。
寂しそうな表情で。



「……っ!!」



そんな顔をさせたくない。

でも。

本当のことを伝えたら。

西原くんはどんな顔をするの?



怖い。

怖くて怖くて、言葉が出てこない。



「じゃあ……、オレは帰るわ」



私を見ずに。

西原くんは出て行ってしまった。