明るい緑色の包み紙。

はっきりしたピンク色の文字で「MINT」と書いてある。



もう手に入らないと思っていたものが。

ほしかった、西原くんとおんなじが。



今。

私の手の中にある。



「田畑さん?」



西原くんが驚いた顔をしている。



「なんで泣いてんの?」

「え……?」



その時。

自分の頬に触れた指先が、涙で濡れて。

泣いていることに初めて気がついた。






手の中にある「特別」は。

今までに感じたことがない重みと。

切ないくらいの儚さで。



私の胸をいっぱいにする。