「ええっ⁉ こんなにムキムキなのに⁉ ケンカしねーの?」
「平和主義者だから。争い事をあまり好まない性格って、動物園の看板にも書いてあるし。飼育員さんから聞いた話だとね……」
はやる気持ちを抑えて丁寧に解説する。
千載一遇のチャンス! 魅力を伝えることができれば、ゴリラ沼にハマるかもしれない!
そしてあわよくば、ゴリラグループに入ってくれるかもしれない……!
期待を胸に、持っている知識を細かく噛み砕いて教えた。
しかし──。
「──だから、草を食べてもムキムキってわけ」
「……ふーん」
そっけない返事。
あんなに瞳を輝かせていた数分前とは打って変わり、もう飽きたのかと思ってしまうほど無表情。
熱く語りすぎたかな……と反省していたら。
「こっちは毎日肉食って筋トレしてるのに。くそっ」
ボソボソと呟きながら、タクマくん人形の胸を指で突いている。
「え……あんた、ゴリラに嫉妬してんの?」



