イジワルな君の一途で不器用な恋心


羨ましそうに2人を見つめていたら、一ノ瀬くんにポンと肩を叩かれた。

またお叱りが来るのかと一瞬身構えたが、穏やかな笑顔を浮かべていて。


どうしたの? と言わんばかりに首を傾げると、「行・き・な・よ」と、口パクで一言。


私、謝罪してから何1つ言葉を発していないのに……。相当顔に表れてたってわけね。



「あの……私も犬グループなんだけど、交換してもいいかな?」



タイミングをうかがい、恐る恐る口を開いた。



「私、3年の朝日 琳子って言います。家でチワワを飼ってて、小型犬グループに入ってるの。良かったら、私とも犬の話してくれないかな?」

「はいっ! ぜひ! 2年の市瀬 世蘭(いちのせ せら)です。よろしくお願いします」



笑顔で承諾してくれた彼女とパチッと目が合う。


さっきは頭に血が上ってて気づかなかったけど……この子、めちゃくちゃ美人さん。

ミワワちゃんが太陽なら、彼女は月。上品でおしとやかなお嬢様の雰囲気が漂ってる。

今までの友達にはいなかったタイプだ。


自己紹介を終えて連絡先を交換した。


市瀬さんは、過去に犬を、現在は猫を飼っているそうで、犬と猫どちらのグループにも所属しているとのこと。

ちなみにお金持ち系の家庭ではなく一般家庭らしい。


猫グループかぁ。あまり交流なかったんだよね。これを機に仲良くなれるといいな。

ただ、最悪の第一印象を与えてしまったから、慎重に距離を縮めていくことにしよう……。


心底反省し、これからは話す前に一呼吸置こうと誓ったのだった。