イジワルな君の一途で不器用な恋心


「手間暇かかってんなー。絶対時間かかっただろ。何時に起きた?」

「6時」

「ええっ⁉ たった1時間で全部作ったわけ⁉」

「そこまでできるわけないでしょ。昨日の夜に作り置きしてたのよ。今朝はそれを詰め込んだだけ」



なんだ、ビックリした。 

まぁ、よく考えたら、1時間でおかずとご飯の準備と海苔までくり抜くのは難しいか。自分の準備だってあるのに。


「ライヤ」の形に切り抜かれた海苔をスマホのカメラで写真に収め、箸を握る。

どれから食べようか迷っていたら、味つけにこだわったという鶏の唐揚げを勧められたので口に運んだ。



「……ん! なんかサッパリしてるな。これ、レモン?」

「正解! 雷夜、唐揚げ食べる時いつもレモンかけてたから、仕込みの段階で入れるのはどうかなーと思って」



えへへとこぼれたお茶目な笑みに、心を鷲掴みにされた。


確かに俺は昔から、唐揚げはレモンをかけて食べるタイプ。


母親が作る唐揚げも、スーパーの惣菜の唐揚げも、調理実習で作った唐揚げも。

最初から濃い味つけがされている時を除いて毎回かけている。