雷夜side



文化祭から3週間が経った10月下旬。



「雷夜ーっ!」



雲1つない青空の下、バイクで住宅街を走っていると、公園の入口で手を振る琳子を見つけた。

彼女の近くにバイクを停めてヘルメットを脱ぐ。



「おはよう!」

「おはよ」



目が合った途端、満面の笑顔で挨拶した琳子。

顔がニヤけないように、声の高さとボリュームを抑えて、穏やかに微笑み返した。



「朝早くからわりぃな」

「ううん。学校ない日もだいたいこの時間には起きてるから。今回はちゃんと持ってきた?」

「持ってきましたよ。ご自慢のセクシーボディーを保護してくれる頑丈なやつをな」

「ご自慢は余計だよ!」



ムッとへの字で睨む琳子に「わりぃわりぃ」と笑いながら胸部用のプロテクターを渡す。


犬のイラストがプリントされた白いパーカーに、濃い色のデニムスキニーパンツ。

そして、頭部の下部分で1つに結ばれたサラツヤなスネイクテール。


よしよし、平常運転。健康状態に問題はなさそうだ。