イジワルな君の一途で不器用な恋心


ヘルメットを持つ彼のネクタイを引っ張り、頬に唇を押しつけた。



「ねぇ、なんで言ってくれないの? 私、かっこよかったって、すごく勇気出して言ったっていうのに」



薄い胸板をポカポカ叩く。


とびっきりおめかしした時、どんな反応するかなって、ドキドキして待ってた。

けど、色が被ってることにしか目がいかなくて、何1つ触れてはこなかった。


正直、寂しいなとは思った。


でも、男の人は普段メイクしない人が多いから、気づかなくても仕方ないよねって。

アイシャドウも前髪で半分隠れてたし、リップグロスだって、ほんのり色づく程度で真っ赤じゃなかったもん。


だけど、せめて……。



「そこはお世辞でも、可愛いとか綺麗って言ってよ……っ」



お団子の時、『上手くできてんぞ』って褒めてくれたように。

巻き髪も、「上手くできてんぞ」って。


部分的に褒めるのが難しいなら、「綺麗だな」とか「可愛いじゃん」とか、抽象的でいいから。


「似合ってるぞ」がすんなり言えるんだから、そこは一言余計に付け足しなさいよ……っ。