「市瀬ちゃん、一ノ瀬くん真ん中のほうにいるって。雷夜はまだみたいだから、先に行ってて」
「わかりました。ありがとうございます」
市瀬ちゃんを見送り、スマホの内カメラを鏡代わりにして身なりを整える。
ドレスの色に合わせて、赤いアイシャドウとリップグロスを塗ってみた。
厚塗りはしてないからケバくはないと思うけど……どんな反応するかな。
いつもの調子なら、「目充血してんぞー」「誰かに殴られた?」とか?
それか、「唇テッカテカだなー。唐揚げでも食ってきたのかー?」とかもありそう。
真っ先に意地悪な反応を考えてしまうのが少し切ないな……。
スマホをポシェットにしまい、踊る人達を眺めていると、「琳子っ」と息切れした声で呼ばれた。
「わりぃ、遅れた」
「ううん。こっちもついさっき来たと──」
横を向くと、今朝のように髪の毛をオールバックにしたタキシード姿の雷夜が。
予想の何倍ものかっこよさに思わず息を呑んだのだけれど……。
「え、ちょっ……なんでそっちも赤なのよ!」
「いや、それ俺のセリフ」



