イジワルな君の一途で不器用な恋心


うーん、今のところそれっぽい人物は見当たらないなぁ。

あと一駅で学校だし、見つからなかったら帰り道にまた捜すとしますか。


混雑しているドア付近を眺めていると、帽子を深くかぶった男の人が目についた。


あの帽子……昨日見たのと少し似てる。

ただの偶然かなと思いながらも、視線を下ろしてみると……。



「っら、らい……っ!」

「ん? どした?」

「あれ、あそこ……っ!」



袖を引っ張って小声で知らせる。


ドアに向かって立つスーツ姿のお兄さん達の奥に、制服を着た女の子が1人。

観察してみると、電車の揺れに合わせて触っている。

手口が昨日と全く同じ。常習犯で間違いない。



「どうしよう、った、助けに行かないと」

「ちょっと待て、落ち着け。相手は大人だ。確実に捕まえるためにも、ここは大人の力を借りたほうがいい」



慌てる私を宥めながら、雷夜は素早くスマホのキーボードを打ち始めた。

それを周囲の人に見せて協力をお願いすると、見事な連携プレーで犯人を取り押さえることに成功。

駅に停車するやいなや、すぐに連行されて、駅員さんと警察官の人から深く頭を下げられたのだった。