「捕まるまでな」と付け足し、再び目を光らせた。
狙った獲物は逃がすまいってか。
「りんコブラを襲う物好きはいねーと思うけど、何かあったらすぐ言えよ」
「はいはい。ありがとね」
一部分にトゲを感じるが、心強いから今回は許してあげるとしよう。
ドアが閉まり、電車が動き出した。昨日の目撃談を話し、詳細と犯人の特徴を伝える。
「帽子被ってたから顔はよく見えなかった。時間は夕方で、5時は過ぎてたと思う」
「帽子と夕方か。何両目だったかは覚えてる?」
「急いでたからあまり……。中央の改札使ったから、多分真ん中あたりじゃないかな」
片手でスマホを持ち、器用に文字を打ち込む雷夜。
真剣な面持ち。ほんの数分前までデレデレしていたとは思えないほどの変貌ぶりだ。
悔しいけど、ちょっとかっこいい。
「こいつ、すっげーやらしくてタチ悪いな。もしかしたら常習犯かも」
「ええっ! そこまでわかるの⁉」
「あくまでも予想だけどな。春休みの期間に不審者を見かけた話が数件あったって、知り合いの駅員さんが言ってたから。可能性はあると思う」



