イジワルな君の一途で不器用な恋心


ペコッと会釈してバックヤードに目をやると、男の店員さんと一緒に作業している雷夜を見つけた。



「ふふふっ、気になる?」

「あぁ……はい。今日は、裏方なんですか?」

「ええ。今月から新しい仕事を習得することになってね。コーヒーを豆から挽いて作る練習をしているの」



ホールには一切目を向けず、真剣な表情でコーヒーを淹れている。


そういえば今朝、『1人でコーヒー作る練習始めた』って話してくれたっけ。


豆からだとコーヒーミルを使うんだよね? かき氷機みたいに上でぐるぐる回して削るやつ。

全粒均一に削るの難しそう……。



「あの、雷夜は勤務中、どんな様子ですか?」

「とても真面目に働いてくれてるよ。コンビニバイトだっただけあって、仕事を覚えるのも早いからすごく助かってる」



笑顔で述べた彼女からコーヒーを受け取った。

香りを楽しんだ後、フーッと息を吹きかけて一口飲む。



「美味しい。ブラックですけど、苦みが強くないので飲みやすいです」

「ありがとう。お口に合って良かった。いずれ目黒くんにもマスターしてもらうから、近々彼お手製のコーヒーが飲めるかもね」