上げた手がピタリと止まり、代わりに目を大きく開けた。
男のバイクって……もしかして、一ノ瀬くんの?
ええっ⁉ 嘘でしょ⁉ 待って、なんで⁉
あの時広場には誰も……私と同年代の人は一ノ瀬くん以外誰もいなかった。
まさか、陰から覗いてた……⁉
呆然とする私を置いて、彼女を連れて部室を後にした雷夜。
途端にいたたまれない気持ちになり、準備室に逃げ込んだのだった。
◇
「さっきは、悪かったな」
「いや、私こそ。怒鳴ってごめん」
強い日差しが照りつける中、雷夜と2人で駅へ向かう。
逃げた後、ほとぼりが冷めるまでしばらく待っていたのだけど、戻ったら場の空気がさらに重くなるかもと思って。
一ノ瀬くんに荷物を持ってきてもらい、準備室のドアから帰ったのだ。
「なんで知ってたの? 覗き見してたとか?」
「ちげーよ。見てたのはジョー。バスの窓から、お前が零士のバイクに乗るのを見たって」



