イジワルな君の一途で不器用な恋心


市瀬ちゃんが席を立ったその時、ドアが開いた。



「あれっ、みんなお揃いで。どうした? こんなとこで」



くそっ、あと少しだったのに。空気読めよ副部長〜〜っ。



「あ、市瀬さん! 来てたんだ!」



眉根を寄せて睨む私をスルーすると、市瀬ちゃんの元に駆け寄った。



「良かった。こないだ具合悪そうだったから心配してたんだよー。もう大丈夫なの?」

「はいっ。ご心配をかけてすみません」

「いいっていいって!」



目の前で会話を繰り広げる2人に目を見開く。


えっ、体調悪かったの……?

こないだって、多分先週のことだよね? 休日はバイトに明け暮れているから。



「それよりさ! こないだ言ってたたけおの動画、昨日撮ってきたから見せるよ!」



市瀬ちゃんの肩に雷夜の手が乗ったのを見て、ハッと我に返った。

いつの間にか、腕を掴んでいたはずの手が体の横にぶら下がっている。