手招きする彼を見つけ、周囲を確認しつつ駆け寄った。
「大丈夫? いない?」
「うん、今のところは。ごめんね、あちこち動き回らせちゃって」
「いいってそんな。さ、座って」
ソファーに荷物を置き、彼の隣に腰を下ろす。
「えっと、その……」
話を切り出そうとしたが、声が詰まってしまった。
「ごめん、ちょっと、頭がこんがらがってて」
「大丈夫。焦らなくていいから。ゆっくりでいいよ」
動揺する私を優しい笑顔で受け止めてくれた一ノ瀬くん。
深呼吸を繰り返し、まずは今抱えているモヤモヤを吐き出した。
「一ノ瀬くんは、あの2人見てどう思った?」
「なんでいるの? 何話してるの? 朝日さんと同じ気持ち。でも、市瀬さんに妬いてはないな。雷夜とはずっと別の学校だったし、俺以外の友達もいるだろうから」
ハッキリと、きっぱりと。お互いの友人関係には踏み込まない。
余裕を感じるのは、単に幼なじみという関係ではなく、きちんと信頼が築かれているからこそなのだろう。
それに比べて私は……。
「まぁ、境遇も似てるし、男同士だからってのもあると思うけどね」



