「珍しく優しいじゃん」とからかわれたその時、電車がガタンと揺れてバランスを崩した。
「うわっ」
「うぐっ」
踏ん張ろうと足裏に力を入れた。しかし……床が濡れていたため滑ってしまい、後ろに倒れ込んだ。
「ごめんっ! 大丈夫?」
「とぐろが、顎に……」
ツッコんでほしいのだろうけど、今はスルーして。どうやら寄りかかった拍子にお団子が顔に直撃したらしい。
慌てて振り向くと、頭皮に小さな痛みが走った。
「いっ……え、何?」
「尻尾がボタンに引っかかってる。取るからちょっと待ってろ」
一瞬何のことかわからなかったが、お団子に触れられた瞬間、毛先だと理解。
言い返したい気持ちを抑えておとなしく外を見る。
「今朝も言ったけどさ、お前、髪綺麗だよな。何かケアとかしてんの?」
「まぁ……一応、週2でトリートメントはしてる」
「それだけ? 他には?」
「特に。普通にシャンプーしてコンディショナー使ってるだけ……」



