イジワルな君の一途で不器用な恋心


口止めしておけば良かったと激しく後悔した。


私を理由にするなよ……。でも、この天気ならしょうがないか。

1人残された一ノ瀬くんが気の毒だな……。



「それよりさ、髪、お団子にしたんだな」



顔を覗かれて心臓がドキッと音を立てた。



「ボサボサになったの?」

「そうよ。あんたが触ったから」

「は? 俺のせいかよ」

「雨の日は繊細になるの」



……なんて言ったけど、実は大して崩れていない。

ミワワちゃんの髪型が気になったから、ピンの留め方を教えてもらうついでに試してみただけ。

……ただ、それだけ。


雨音で心を静めていると電車が到着した。前の人に続いて乗り込み、窓際に移動する。



「なんか2人で帰るの久しぶりだな。最後に乗ったのいつだっけ」

「さぁ。宿泊研修の時じゃない?」

「なら1ヶ月近く前か。時間過ぎるの早いなー」