(……って言ったものの、チョコで何作ればいいんだ?)

歩は家に帰ってから、早速結衣に渡すためのチョコレートを考えるが、一度もやったことがないため、当然何も思いつかない。

スマホで調べれば、クッキーやフォンダンショコラなどたくさんのレシピが出てくる。こんなにもレシピがあるのか、と歩は驚いてしまった。

「すごいなぁ、女の子って。毎年こんなの作ってんのか」

結衣は去年、チョコレート味のシフォンケーキを作ってくれた。レシピを調べると、お菓子作りを一度もしたことのない歩にも、手間がかかっているんだとわかるものだった。

「あのシフォンケーキ、おいしかったな」

くどすぎず優しい甘さに歩は自然と笑顔になっており、食べた後にすぐに電話で結衣に感想を伝えた。結衣は嬉しそうにしており、歩も幸せだった。

次は結衣を自分の作ったお菓子で笑顔にする。そう決めたのだが、レシピを色々眺めて約一時間、何も決まらない。