「なんで地蔵が見えてるんだよ?」


大輔が誰に共なく聞く。


答えたのは智子だった。


「地蔵全部に首がついたからじゃない? そしてこれから、地蔵がこの街を壊滅させてくれる!」


智子が叫ぶようにそう言った瞬間だった。


今までキツク目を閉じていた5体の地蔵たちが一斉にカッと目を見開いたのだ。


「慎也!」


佳奈が咄嗟に慎也の顔をつけた地蔵に駆け寄りそうになり、それを明宏が止めた。


「近づくな佳奈!」


「でもっ!」


目を開けた地蔵たちはガクガクと左右に揺れ始めた。


その揺れに合わせて石がボロボロと剥がれ落ちていく。


石の内側から現れたのは灰色の手足だった。


それは人間と同じほどの大きさがあるにもかかわらず、やはり質感は石でできているようだった。


「なんだよこれ……」


大輔が注意深く後ずさりをする。