君は、幸せな人魚姫になった

「カラオケ大会!」

「バーベキュー!」

「みんなでオンラインゲーム!」

どれも帆高の苛立ちを加速させる案ばかりだ。怒りが抑えられそうになく、帆高はつま先を地面にコツコツとぶつける。

(カラオケとかゲームとか、そんなのくだらない。バーベキューなんて一週間で準備できるわけないだろ!勉強してた方がマシだ)

まだクラスメートたちは案を言っている。帆高は教科書でも読んでいた方がいいと思い、机の中から数学の教科書を取り出す。すると、「もしかして青山くんって、勉強しかしてこなかった人?」と横から声をかけれる。横を見れば、みずきは微笑んでいた。

「は?だったら何だよ」

「そんなのもったいないよ。人生って一回しかないんだよ。青春も、学生生活も、一回しかやってこない。勉強だけが人生の全てじゃないんだよ」

そんなわけないだろ、そう帆高は言いたかったが、みずきのどこか真剣な目に口が開かない。

「楽しい学校生活にしようよ。ここで出会えたのも、奇跡みたいなものなんだから」