やわく、制服で隠して。

「深春。眠いの?」

下瞼にまつ毛の影が出来ている。
一本一本が長くて密集している。本当に、丁寧に作られたお人形みたいだ。

「まふゆも…一緒に寝よ…。」

「ん。」

寝言みたいに言う深春に返事をして、そっと横に寝転んで、後ろから深春を抱き締めた。
深春のお腹辺りに回した私の手を、深春は握った。

深春の寝息が聞こえる。
カーテンを開けているから窓から陽が刺していてポカポカと暖かい。

今頃クラスのみんなは火を起こす薪を拾いに行ったり、カレーを作る準備をしたりしているのかなとか、だけど私達は二人でこんなにゆっくりした時間を過ごしているんだなとか、ゆるゆると考えた。

不思議なくらいに罪悪感は感じなかった。
深春の誘いを断って野外合宿に行っていたほうが、きっと私は後悔した。

「深春。ずっと一緒だからね。」

もう何度言葉にしたか分からない言葉。
深春からの返事は無い。
深春と繋いでいる手のひらを解いて、深春の胸元に触れた。

トクン、トクンと小さく鼓動を感じた。
いつまでもこの距離で、深春の一番近くで、深春を感じていたい。
誰にも奪われたくない。
何を失っても。何と引き換えにしても。

「好きだよ。」

目を閉じて、深春の寝息に合わせるように呼吸を繰り返した。
まどろみの中で深春の温度を抱き締めて、深く深く眠りに落ちた。