「アミちゃん…、だっけ?その子がまふゆの所に来るたびに、まふゆの様子がおかしかった。だからちょっと調べさせてもらったの。すぐにカホさんに行き着いて、珍しい名字だし、聞いたことあるなぁって思って調べたら一発でした。しかもカホさんはすごーく自己顕示欲が強いタイプみたいで。ネットの情報も垂れ流し。助かりました。」
ニコニコと穏やかに離し続ける深春に、誰も口を挟めない。
茶髪だけが腕組みをして、興味深そうに深春を見ている。
「お父さんが娘と自分の立場、どっちを守るか知らないけど、今後あなたにとっての得は何も無くなるでしょうね。で、こんな風に情報ってどこからでも得られるんですよ。お兄さん達が本当に悪い人達ならそれこそ前科だってあるかもしれませんし?」
「俺らは別に…!」
「そうですよね。」
焦って声を上げたトンガリ靴を、深春は制止した。
深春の目には誰にも何も言わせない力強さがある。
一人の女子高生に圧されている大人の男達の図は、なんて滑稽なのだろうと思う。
そう思うけれど、催眠術でもかけられたみたいに、その場の空気は全て深春の物で、声も出せなかった。
「本当に悪い人達なら、私達のことなんてとっくにヤッちゃってると思います。でもそうしないのは、ただこの子にそそのかされたからですか?おまけにあなたは…。」
そう言って深春は茶髪を見た。茶髪は腕を組んだまま、深春をジッと見ている。
「本当はあなたが誰よりもこの場を楽しんでいる。“そういう趣味”がありますよね?面倒なことはあとの二人にさせて、美味しいところだけ貰っちゃおうと思ってました?」
茶髪は、ふと小さく笑いを漏らしたけれど、否定も肯定もしなかった。けれど否定しないっていうことは“そういうこと”だ。
「ねぇ、もうやめよ。カホ、飽きちゃった。」
カホが早歩きで私達のほうへやってきて、くちピの袖を引いた。
「カホがいいんなら別に俺らはそれで…なぁ?」
「待って。」
「何なのよ!もういいって言ってんでしょ!こっちだって別にこんな女の代わりなんていくらでもいるの!執着する理由なんて無いから!」
声を荒げるカホを、深春は冷たい目で見ていた。
「アンタがいいかどうかじゃないって言ってんでしょ。」と、深春の声が、低く路地に響いた。
ニコニコと穏やかに離し続ける深春に、誰も口を挟めない。
茶髪だけが腕組みをして、興味深そうに深春を見ている。
「お父さんが娘と自分の立場、どっちを守るか知らないけど、今後あなたにとっての得は何も無くなるでしょうね。で、こんな風に情報ってどこからでも得られるんですよ。お兄さん達が本当に悪い人達ならそれこそ前科だってあるかもしれませんし?」
「俺らは別に…!」
「そうですよね。」
焦って声を上げたトンガリ靴を、深春は制止した。
深春の目には誰にも何も言わせない力強さがある。
一人の女子高生に圧されている大人の男達の図は、なんて滑稽なのだろうと思う。
そう思うけれど、催眠術でもかけられたみたいに、その場の空気は全て深春の物で、声も出せなかった。
「本当に悪い人達なら、私達のことなんてとっくにヤッちゃってると思います。でもそうしないのは、ただこの子にそそのかされたからですか?おまけにあなたは…。」
そう言って深春は茶髪を見た。茶髪は腕を組んだまま、深春をジッと見ている。
「本当はあなたが誰よりもこの場を楽しんでいる。“そういう趣味”がありますよね?面倒なことはあとの二人にさせて、美味しいところだけ貰っちゃおうと思ってました?」
茶髪は、ふと小さく笑いを漏らしたけれど、否定も肯定もしなかった。けれど否定しないっていうことは“そういうこと”だ。
「ねぇ、もうやめよ。カホ、飽きちゃった。」
カホが早歩きで私達のほうへやってきて、くちピの袖を引いた。
「カホがいいんなら別に俺らはそれで…なぁ?」
「待って。」
「何なのよ!もういいって言ってんでしょ!こっちだって別にこんな女の代わりなんていくらでもいるの!執着する理由なんて無いから!」
声を荒げるカホを、深春は冷たい目で見ていた。
「アンタがいいかどうかじゃないって言ってんでしょ。」と、深春の声が、低く路地に響いた。



