中学の頃、よく使っていたコンビニの路地裏。
三人くらいは横並びになって歩ける幅があって、向かいの家のベランダが見える。
カホが立ち止まって、男三人とアミが私を囲むようにして立った。
他の二人は塀に背中を付けて、映画でも観ているように私を眺めた。
「で、まふゆ。もう一度聞かせて?これからどうするの?」
「言った通りだよ。もうカホ達とはツルまない。」
あんなに楽しそうにしていたアミは、また憎々しげな顔になって、男達はニヤニヤと笑っている。
茶髪の男だけは相変わらず無表情で、なんでここに居るのかも謎に思えてくる。
「どうしてまふゆはそんな酷いこと言うのかなぁー。私達、親友でしょ?」
「カホには感謝してるよ。中学三年間、カホのおかげで私の立場は守られてたし、いい思いだってさせて貰えてた。」
「そうでしょ?だったら絶交するなんて馬鹿だよ。」
カホはニコニコと高めの声で喋っているけれど、目は全然笑っていない。
「私、別にこういう男の人達と遊んだり、未成年にとって悪いことしたりするの、楽しくないんだ。」
「えー、まふゆちゃんキッツ。俺達、君のこと気持ちよくさせてあげられんのに?」
また私に触れてこようとしたトンガリ靴の手を払い除けた。パシッと小さく音が鳴って、茶髪が初めてこっちを見た。
「まふゆ暴力はダメだよぉー。」
「あー、いいよ、カホ。この子、言っても分かんないみたいだから。もう始めようぜ。」
くちピが一歩、二歩、私に詰め寄ってくる。塀まで追い詰められて、私の背中が塀に当たった。
「カホとこれからもお友達を続けて、俺らとも遊んでくれるーって言うんなら許してあげる。」
「別に、あなたに許してもらう筋合い無いです。だいたい私達、知り合いでも何でも無いですよね?なんであなたに決められなきゃいけないんですか?」
「コイツっ…!」
ヘラヘラと私を押さえつけようとしていた男の手に力が入る。
目の前にスッと茶髪の腕が見えて、その腕が、くちピの肩を私と反対側に押した。
「やめとけ。」
「おいー、なんだよ、止めんなよ。俺達遊んでんの。ね、まふゆちゃん。」
「見えるとこに怪我させたらシャレになんねーぞ。」
この人が一番マトモっていうか、マシかなって思っていたけれど、そうでも無いみたい。
そう。この茶髪はただの“傍観者”で、だけど外野から一番楽しんでいるタイプの人間だ。
隅のほうで映画でも観ているかのように眺めている、あの“元グループ”の二人と同じ。
もしここで私に何かあっても、自分達は見ていただけだから、そんなには心も痛まないだろう。
三人くらいは横並びになって歩ける幅があって、向かいの家のベランダが見える。
カホが立ち止まって、男三人とアミが私を囲むようにして立った。
他の二人は塀に背中を付けて、映画でも観ているように私を眺めた。
「で、まふゆ。もう一度聞かせて?これからどうするの?」
「言った通りだよ。もうカホ達とはツルまない。」
あんなに楽しそうにしていたアミは、また憎々しげな顔になって、男達はニヤニヤと笑っている。
茶髪の男だけは相変わらず無表情で、なんでここに居るのかも謎に思えてくる。
「どうしてまふゆはそんな酷いこと言うのかなぁー。私達、親友でしょ?」
「カホには感謝してるよ。中学三年間、カホのおかげで私の立場は守られてたし、いい思いだってさせて貰えてた。」
「そうでしょ?だったら絶交するなんて馬鹿だよ。」
カホはニコニコと高めの声で喋っているけれど、目は全然笑っていない。
「私、別にこういう男の人達と遊んだり、未成年にとって悪いことしたりするの、楽しくないんだ。」
「えー、まふゆちゃんキッツ。俺達、君のこと気持ちよくさせてあげられんのに?」
また私に触れてこようとしたトンガリ靴の手を払い除けた。パシッと小さく音が鳴って、茶髪が初めてこっちを見た。
「まふゆ暴力はダメだよぉー。」
「あー、いいよ、カホ。この子、言っても分かんないみたいだから。もう始めようぜ。」
くちピが一歩、二歩、私に詰め寄ってくる。塀まで追い詰められて、私の背中が塀に当たった。
「カホとこれからもお友達を続けて、俺らとも遊んでくれるーって言うんなら許してあげる。」
「別に、あなたに許してもらう筋合い無いです。だいたい私達、知り合いでも何でも無いですよね?なんであなたに決められなきゃいけないんですか?」
「コイツっ…!」
ヘラヘラと私を押さえつけようとしていた男の手に力が入る。
目の前にスッと茶髪の腕が見えて、その腕が、くちピの肩を私と反対側に押した。
「やめとけ。」
「おいー、なんだよ、止めんなよ。俺達遊んでんの。ね、まふゆちゃん。」
「見えるとこに怪我させたらシャレになんねーぞ。」
この人が一番マトモっていうか、マシかなって思っていたけれど、そうでも無いみたい。
そう。この茶髪はただの“傍観者”で、だけど外野から一番楽しんでいるタイプの人間だ。
隅のほうで映画でも観ているかのように眺めている、あの“元グループ”の二人と同じ。
もしここで私に何かあっても、自分達は見ていただけだから、そんなには心も痛まないだろう。



