「深春。ごめん。中学の同級生と約束してるから。」
放課後、深春に告げて、教室を出た。深春はコクンと頷くだけで何も言わなかった。
下足箱でローファーに履き替えて外に出たら、校門の前に明らかにうちの生徒じゃない人達が溜まっているのが見えた。
一人だけ、この校門の前で溶け込んでいる生徒もいるけれど、それはアミだ。
憂鬱な気分になる。摺り足になってゆっくり歩いているから、ローファーの下からジャリジャリと音が聞こえた。
私の気持ちとは反対に、得意げな顔のアミが「まふゆー。遅いよ。」って言ってきたけれど、アミと目は合わせなかった。
今、確信した。
どんなにカホの操り人形でも、アミにその糸は切れない。
それならもうずっと、そうやって笑顔を貼り付けて、カホの下で踊り続ければいい。
あの男と同じ。こうやって私達はまた簡単に、他人になっていく。
「カホ。久しぶり。」
カホの周りに群がるアミと、同じグループだった子達が二人。それから三人の知らない男の人。
「あれー。この子全然ギャルじゃないじゃん。ほんとにカホの友達?」
男の一人がニヤニヤしながら私の顔を覗き込んだ。
くちびるにピアスをつけている。ご飯食べにくそうだなって、変に冷静な自分が笑えてくる。
「もー。意地悪言わないであげて。カホのだーいじな親友なんだから。」
カホが私をギュッと抱き締めてきた。指先で私の髪の毛を触って、「ちょっと失敗しちゃっただけだよね。」と言って、笑った。
「えーっと、まふゆちゃん、だっけ?俺ら女子高生と遊べるって聞いてちょー楽しみにしてたのに、君のせいで萎えちゃってんだよね。責任取ってくれるって聞いたんだけど?」
くちピの右隣に立っていた、妙に尖った靴の男が私の肩に触れた。
鳥肌が立ってしょうがない。
もう一人の、濃いめのブラウンの髪の毛で…それ以外は特に特徴の無い男は、黙って私達を見ていた。
「カホ。ここじゃマズいよ。もうすぐ生活指導が下校の見回りに来るから。」
「ふーん。さすが進学校様だねぇ。じゃああっち行こっか。」
カホが歩き出して、ぞろぞろとみんながついて歩いた。
カホはずっと、私の腕を抱きかかえるようにして歩いた。私が逃げないように、そうしているのだろう。
その後ろでアミが「カホはやっぱその制服一番似合ってるよね。」と、甘い声で言って、周りが同調する。
「そんなことないよぉー。」って、そんなことあるクセにカホは嬉しそうに否定した。
放課後、深春に告げて、教室を出た。深春はコクンと頷くだけで何も言わなかった。
下足箱でローファーに履き替えて外に出たら、校門の前に明らかにうちの生徒じゃない人達が溜まっているのが見えた。
一人だけ、この校門の前で溶け込んでいる生徒もいるけれど、それはアミだ。
憂鬱な気分になる。摺り足になってゆっくり歩いているから、ローファーの下からジャリジャリと音が聞こえた。
私の気持ちとは反対に、得意げな顔のアミが「まふゆー。遅いよ。」って言ってきたけれど、アミと目は合わせなかった。
今、確信した。
どんなにカホの操り人形でも、アミにその糸は切れない。
それならもうずっと、そうやって笑顔を貼り付けて、カホの下で踊り続ければいい。
あの男と同じ。こうやって私達はまた簡単に、他人になっていく。
「カホ。久しぶり。」
カホの周りに群がるアミと、同じグループだった子達が二人。それから三人の知らない男の人。
「あれー。この子全然ギャルじゃないじゃん。ほんとにカホの友達?」
男の一人がニヤニヤしながら私の顔を覗き込んだ。
くちびるにピアスをつけている。ご飯食べにくそうだなって、変に冷静な自分が笑えてくる。
「もー。意地悪言わないであげて。カホのだーいじな親友なんだから。」
カホが私をギュッと抱き締めてきた。指先で私の髪の毛を触って、「ちょっと失敗しちゃっただけだよね。」と言って、笑った。
「えーっと、まふゆちゃん、だっけ?俺ら女子高生と遊べるって聞いてちょー楽しみにしてたのに、君のせいで萎えちゃってんだよね。責任取ってくれるって聞いたんだけど?」
くちピの右隣に立っていた、妙に尖った靴の男が私の肩に触れた。
鳥肌が立ってしょうがない。
もう一人の、濃いめのブラウンの髪の毛で…それ以外は特に特徴の無い男は、黙って私達を見ていた。
「カホ。ここじゃマズいよ。もうすぐ生活指導が下校の見回りに来るから。」
「ふーん。さすが進学校様だねぇ。じゃああっち行こっか。」
カホが歩き出して、ぞろぞろとみんながついて歩いた。
カホはずっと、私の腕を抱きかかえるようにして歩いた。私が逃げないように、そうしているのだろう。
その後ろでアミが「カホはやっぱその制服一番似合ってるよね。」と、甘い声で言って、周りが同調する。
「そんなことないよぉー。」って、そんなことあるクセにカホは嬉しそうに否定した。



