また玄関のドアが開く音がした。
足音と共に現れたのは一人の男性だった。
大人達が男性にお疲れ様ですとか、どうもとか挨拶をしている。
その男性が、私に覆い被さる深春の肩を抱いて引き離し、ほら、と一枚のブランケットを差し出した。
深春が私を抱き抱えるようにして、ベッドの上に座らせる。
そして背中からそのブランケットを掛けてくれた。
深春の匂いがする…。安心する。
止まっていた涙がまた溢れ出す。背中をさすり続ける深春の手が温かい。
「私がいつも使ってるブランケットよ。父さんに一緒に持ってきてって頼んだの。」
「お父さん…?」
「うん。この人は私のお父さんで、この方達は、私のお父さんが所有するマンションの住人さん達。」
落ち着いていない脳内に流れてきた情報を、私はうまく処理できなかった。
みんな深春の仲間ってことなのかな。
どういうことだよって、さっきまであんなに威勢の良かった彼は、項垂れて力なく呟いた。
深春がゆっくりと話す。
昨日、彼の住むマンションへと向かう私の後をつけていたこと。
その道には見覚えがあって、辿り着いたマンションは、思った通り深春のお父さんが所有しているマンションだった。
そしてこの学生向けマンションの隣に建つファミリー向けマンションもまた、深春のお父さんが所有しているマンションで、そのマンションの住人が、この大人達だった。
深春のお父さんはとても綺麗好きで、定期的にマンションの共用スペースの清掃を行なったりしていた為、その清掃に住人達も協力してくれたり、深春も手伝いに行ったりしていたから、この人達とは親しくしていたらしい。
今日、私をこのマンションまで送り届けてから、深春は隣のマンションに駆け込んだ。
いくつかの部屋に行って、友達が危ない、助けてくれる方はいませんかと声をかけて回り、家に居たこの五人が駆けつけてくれたということだ。
必ず私がSOSを飛ばしてくる。
そう信じていた深春は、この人達と一緒に待機していてくれたそうだ。
「本当にごめんなさい…。」
呟いた私の頭を、深春のお父さんが撫でて、大人の一人の方が「悪いのは君じゃ無い」って言ってくれた。
「深春、ドアの前で何か叫んでた?」
「うん。誰か助けて、女の子が監禁されてます。お願い、誰か!って。」
「もうみんなが待機しててくれたのにどうして?」
「騒ぎにしたかったからよ。」
「騒ぎ?」
「この声が近くに居る人達に届けば、何人かは集まるかなって思って。絶対にこいつを逃したくなかったから。」
「僕が駆けつけた時も、玄関前に数人集まっていたよ。」
彼が苦虫を噛み潰したような顔をしている。
終わった…全て終わりだとぶつぶつ呟く彼は不気味だった。
「まふゆちゃん、ご両親はご在宅かな?」
「パ…、父は今日はお仕事はお休みだって言ってました。母も居ると思います。」
「連絡先を教えてくれるかな?今すぐここに来て頂きたいんだけど、僕から話すから。」
深春のお父さんの言葉に、私はブンブンと首を横に振った。
「パパとママには言わないで!」
「まふゆちゃん、そういうわけにはいかないよ。これは大きな事件になってもおかしくない事なんだ。」
「事件!?事件だなんて…俺が悪かった!だから…!」
大声を上げた彼の頭を、深春のお父さんがグッと掴んだ。
「悪かったで済む話じゃないんだよ。」
足音と共に現れたのは一人の男性だった。
大人達が男性にお疲れ様ですとか、どうもとか挨拶をしている。
その男性が、私に覆い被さる深春の肩を抱いて引き離し、ほら、と一枚のブランケットを差し出した。
深春が私を抱き抱えるようにして、ベッドの上に座らせる。
そして背中からそのブランケットを掛けてくれた。
深春の匂いがする…。安心する。
止まっていた涙がまた溢れ出す。背中をさすり続ける深春の手が温かい。
「私がいつも使ってるブランケットよ。父さんに一緒に持ってきてって頼んだの。」
「お父さん…?」
「うん。この人は私のお父さんで、この方達は、私のお父さんが所有するマンションの住人さん達。」
落ち着いていない脳内に流れてきた情報を、私はうまく処理できなかった。
みんな深春の仲間ってことなのかな。
どういうことだよって、さっきまであんなに威勢の良かった彼は、項垂れて力なく呟いた。
深春がゆっくりと話す。
昨日、彼の住むマンションへと向かう私の後をつけていたこと。
その道には見覚えがあって、辿り着いたマンションは、思った通り深春のお父さんが所有しているマンションだった。
そしてこの学生向けマンションの隣に建つファミリー向けマンションもまた、深春のお父さんが所有しているマンションで、そのマンションの住人が、この大人達だった。
深春のお父さんはとても綺麗好きで、定期的にマンションの共用スペースの清掃を行なったりしていた為、その清掃に住人達も協力してくれたり、深春も手伝いに行ったりしていたから、この人達とは親しくしていたらしい。
今日、私をこのマンションまで送り届けてから、深春は隣のマンションに駆け込んだ。
いくつかの部屋に行って、友達が危ない、助けてくれる方はいませんかと声をかけて回り、家に居たこの五人が駆けつけてくれたということだ。
必ず私がSOSを飛ばしてくる。
そう信じていた深春は、この人達と一緒に待機していてくれたそうだ。
「本当にごめんなさい…。」
呟いた私の頭を、深春のお父さんが撫でて、大人の一人の方が「悪いのは君じゃ無い」って言ってくれた。
「深春、ドアの前で何か叫んでた?」
「うん。誰か助けて、女の子が監禁されてます。お願い、誰か!って。」
「もうみんなが待機しててくれたのにどうして?」
「騒ぎにしたかったからよ。」
「騒ぎ?」
「この声が近くに居る人達に届けば、何人かは集まるかなって思って。絶対にこいつを逃したくなかったから。」
「僕が駆けつけた時も、玄関前に数人集まっていたよ。」
彼が苦虫を噛み潰したような顔をしている。
終わった…全て終わりだとぶつぶつ呟く彼は不気味だった。
「まふゆちゃん、ご両親はご在宅かな?」
「パ…、父は今日はお仕事はお休みだって言ってました。母も居ると思います。」
「連絡先を教えてくれるかな?今すぐここに来て頂きたいんだけど、僕から話すから。」
深春のお父さんの言葉に、私はブンブンと首を横に振った。
「パパとママには言わないで!」
「まふゆちゃん、そういうわけにはいかないよ。これは大きな事件になってもおかしくない事なんだ。」
「事件!?事件だなんて…俺が悪かった!だから…!」
大声を上げた彼の頭を、深春のお父さんがグッと掴んだ。
「悪かったで済む話じゃないんだよ。」



