やわく、制服で隠して。

“絶対に切れない絆”。
その言葉は私にとって、とても魅力的だった。

どういう意味?って訊いたらね、ニコッて笑って言ったの。

「一生手に入れることの出来ない他人で居続けることが不安なら、一生切れない家族を作ればいい。」って。

「家族?」

「そう。」

「家族って、誰の?棗くんは本当に私と結婚するの?」

「そうだよ。君は僕と結婚する。これは僕の夢だから、その代わりに君は何をしても、誰を好きなままでもいいよ。条件は僕と君の子どもを作ること。そうすれば君は、冬子とも一生切れない絆を手に入れることが出来る。」

どういうことかしら?
それに“冬子”って。棗くんはいつから冬子ちゃんのことを呼び捨てにするようになったのだろう。

でもそうか。大学四年間。社会人生活を入れたらもっと、私よりも長く冬子ちゃんと一緒に居たんだもの。
自然とそうなるのかもしれない。

「どうしてあなたとの子どもを産めば、冬子ちゃんとの絆も手に入れられるの?」

「キョウダイになるからだよ。」

「…え?」

それから棗くんが口にした言葉は、私の頭の中を真っ白にさせた。

「冬子、妊娠してるんだ。僕の子どもを。」

棗くんはハッキリとそう言ったのに、その言葉はしっかりと私の耳に届いたのに、言葉の意味がまったく分からなかった。

…まふゆちゃん?大丈夫?
ちょっと焦点が合っていない感じがするわ。
少し休憩する?大丈夫?

深春…、深春、あなたも大丈夫なの?
そう…。続けていいのね?

ふふ。手を繋ぎ合って。微笑ましい…、妬ましくすらあるわ。

それじゃあ続きを話すわね。
具合が悪くなったらすぐに言ってね。