あれは天馬くんだった。


あの時の会話を思い出した。


手を握ってくれてたから私はあの場で落ち着いていられたんだ。


天馬くんがいたから


救われたんだ。




ぼやーっと目を覚ますと目の前で天馬くんがこちらを見ていて。


え!?これも夢!?


「おはよ」


「お、お、おは……」


どうやら夢じゃなかったらしい。


「ぶっ!なにそれ、かわいいな」


「えっ!」


寝起きが可愛いわけないじゃん!

天馬くん本当にどうしちゃったんだろう……。


「あー。ちひろの寝顔を隣で見れるのが嬉しい」


「ねえ……昨日からどうしちゃったの?」


「もう隠さなくて良くなったから。ほんとはもっと色んなことしてーけど……これでも我慢してんだよ」


そう言ってチラッと上目使いで見てくる。

色んなことって!?

オオカミなんだかウサギなんだか……。