闇は死の象徴。目の前に広がる夜の海は闇のようで怖い。

……と初めは思っていた。


だけど、近寄らなければただの景色でしかない。

闇ではないのだ。


それがわかれば、朝であろうと夜であろうと海は安らぎを与える源。

もう恐怖は感じない。



今日は雲で月が隠れていて、辺りを深い夜が覆う。


そんな暗闇に、突如、光が灯った。


由良くんの顔を照らすスマホの明かり。初めて私の前でスマホを取り出した。


というか……。


「スマホ持ってたんだね」



当たり前だろ、とでも言いたげな目が向けられる。


依存率に違いはあれど、子どもからお年寄りまで使いこなす機械。持っているのが当たり前、なんだけど……。


謎を羽織る由良くんなら持っていなくても不思議ではない、と錯覚した。