みんなと別れて、由良くんと並んで歩く帰り道。

私は、さっき澪さんが言おうとした話を切り出した。


「さっき澪さんが言おうとしてたこと……『総長の女』って?」

「意味はそのまま、総長の彼女のこと。だけど、普通とはちょっと違って……」


話を整理するためか、そこで言葉を切った由良くん。

無言で歩みを進める。


数歩歩いたところで、ゆっくり口を開いた。


「この辺りにはいくつか暴走族のチームがあるんだけど、絶えず抗争を続けている。相手を出し抜こうと、時には姑息な手段も厭わない。その1つとして、総長の女が利用されることがある。過去に、1人の女が原因で潰れたチームもあった」



すぐに話を理解した。


だって、私はすでに体験している。

由良くんを呼び出そうと、昇龍のアイジに利用された。


つまり、ああいうことがまた起こるかもしれない。


ぞくりと背筋に寒気が走った。