地味子、学校のイケメン二人と秘密の同居始めます!

 「魁吏くんの王子様姿、他の女の子に見られたくなかったし・・・・・・」
 いくら私と魁吏くんが付き合ってることが周知の事実とはいえ、まだまだ魁吏くんファンはいっぱいいる。
 そういう子たちは、魁吏くんが王子姿で登場なんてしたら写真撮ったりするだろうけど、魁吏くんのカッコいい姿がそうやって知らない子の写真フォルダに残り続けるなんて嫌だ。
 ふいに魁吏くんの顔を見上げると、ぽかん、と狐につままれたような顔をしていた。
 ・・・・・・私、そんな変なこと言ったかな?
 「・・・・・・そーかよ」
 「え!?魁吏くん!?」
 「言っとくけど、納得したわけじゃねえからな」
 ぼそりと呟いて、共有スペースから出て行こうとする魁吏くん。
 後ろからだからよく見えないけど、髪の隙間からのぞく耳がなんだか赤く染まってるような気がする。
 今度は共有スペースに1人取り残された私がぽかん、とする番。
 ・・・・・・えーっと、これは許してもらえたっていうことでいいのかな?
 うんうんと首を捻っていると、横に置いていた私のスマホからピコンッと通知音が聞こえてきた。
 ・・・・・・郁弥くんから、メッセージ・・・・・・?
 なんだろう、珍しい。
 普段郁弥くんと連絡をとるときは電話で話をすることが基本で、意外にも私たちの間のトーク履歴は少ない。
 それなのに、わざわざ文字で?
 もしかして、魁吏くんと別れなさいっていう真面目な話かな・・・・・・?
 それか、シェアハウスの解約書みたいなのをPDFで送ってきてたりして・・・・・・。
 若干びくびくしながらも、届いたメッセージを確認する。
 『今度ある文化祭、行くよ』
 ・・・・・・短っ!
 え、もっと他にお説教とかないの!?
 想像していた内容と180度違って、驚きを隠せない。
 こんな、あまりにも普通の内容が届くとは・・・・・・。
 『わかった。私たちがする劇は、土日のうちの土曜日だよ』
 電話で返すか少し悩んでから、結局そうスマホに打ち込んだ。
 私の学校では、保護者や一般客が来やすいようにと休日2日間で文化祭を行う。
 そして、その次の月曜日と火曜日は振替休日になるのだ。
 ・・・・・・よし、郁弥くんも見にくるし女子会というご褒美もあるし魁吏くんの許し?ももらえたし・・・・・・。
 演劇練習、頑張るぞ!
 そういって、私はまた決意を固めたのだった。