地味子、学校のイケメン二人と秘密の同居始めます!

 そんな真っ赤な顔で睨まれても痛くも痒くもないよよ〜だ。
 ずっと笑ってる私を見て、魁吏くんは呆れたように笑った。
 「・・・・・・ま、ちょっとは元気が出てきたようでいーけど」
 「うん」
 やっぱり笑顔って魔法だね。
 昨日からのモヤモヤもクヨクヨも、全部消えちゃった。
 それに、無愛想な魁吏くんを笑わせられるのなんて私くらいだし!
 ・・・・・・なんて、流石に自惚れすぎ?
 「・・・・・・あ」
 そういえば、忘れてたけど・・・・・・。
 今、私魁吏くんに抱きしめられてる!?
 冷静になると、今度はかえって今の状況が恥ずかしく感じてくる。
 引いた顔の熱がまた集まってきて、心臓もドキドキなってる。
 こんな至近距離で、もしかしたら心臓の音が魁吏くんに聞こえてるかも・・・・・・。
 「あ、あの魁吏くん。ちょっと近い、かな?」
 「ん?」
 「あのずっとこのままだと、心臓がもたないというか、自分の熱で熱中症になっちゃうというか・・・・・・」
 それとなーく、魁吏くんにちょっと離れてほしいことを伝えると。
 「・・・・・・ふーん?」
 魁吏くんは、顔に不敵な笑みを浮かべた。
 げ、なにか嫌な予感。
 そんな顔も様になっててかっこいいとは思うけど、それとは別でなんだか不穏な感じがして、離してもらおうと身じろぎする。
 「絢、何逃げようとしてんだよ」
 「い、いやー逃げようなんて気持ちはこれっぽっちも・・・・・・」
 「じゃあこのままでもいいよな?」
 「それは困る・・・・・・」
 「なんで?」
 かっこいいから、とはなんだか気恥ずかしくて言えない。
 というか、魁吏くんってこんなんだっけ!?
 なんだか雰囲気がいつもと違って、甘いというか、なんというかなんだけど。
 魁吏くんはいつも女の子に執拗に絡まれてて、この距離は特別近いとも思わないのかもしれないけど、全く異性と絡んだことがない私にとっては既にキャパオーバー気味。
 「絢」
 「なななな、なにかな!?」
 「こっち向いて」
 恥ずかしくて顔を逸らしてたけど、真剣な声でそう言われてしまったからには向かないわけにはいかない。
 ぐ、ぎ、ぎ、ぎ、と壊れたロボットのようにぎこちなく魁吏くんのほうに顔を向ける。
 すると、ばっちりと目が合ってしまった。
 そしてそのまま、魁吏くんの顔がこちらに近づいてくる。
 これって、もしかして、もしかしなくても・・・・・・!?