地味子、学校のイケメン二人と秘密の同居始めます!

 ううん、向こうが先に酷いこと言ってきたんだし。
 私は何も悪くない・・・はず。
 少しのモヤモヤを抱えたまま、私は荷ほどきに専念した。


 「ふぅ〜・・・ひとまずこれで終わり!」
 ベッドもちゃんと寝れるよう整えたし、服だって全部タンスにしまった。
 取り敢えず、今できる全てのことは終えたと言っていいだろう。
 「疲れた〜」
 片付けを苦とは思わないけど、引っ越し後の荷ほどきってこんなにも疲れるんだね。
 昔伯父さんの家に住むことになったときは私一人じゃなくて伯父さんとか伯母さんも手伝ってくれたから、疲れるなんて思わなかったなぁ。
 春用の部屋着に着替える。
 そのまま、整えたばっかりのベッドにゴロンと寝っ転がった。
 柔らかい布団が私を受け止める。
 「・・・そうだ、伯母さんに電話しないと」
 小さな机の上にポツン、と置かれたスマホに手を伸ばす。
 もう、入居している人が二人共男子高校生だなんて聞いてないよ。
 伯母さんがそれを確認していたのかすら怪しいけど。
 プルルル、プルルルという無機質なコール音が3回ほどなって伯母さんが電話に出た。
 『絢花ちゃん、どうしたの〜?』
 「伯母さん・・・」
 『随分疲れている感じじゃない。あっ、荷物の片付けをもう終わらしたのかしら!?さすが、絢花ちゃんしっかりしているわね』
 相変わらず、伯母さんはいつも楽しそうだ。
 きっと、楽しさとか嬉しさとかを些細(ささい)なことで感じられるんだろうなぁ。
 伯母さんのそういうところが、尊敬できるところであり大好きなところだ。
 じゃなくて!
 「伯母さん、シェアハウスの相手が男子なんですけど!?」
 『あらっ、そうだったの〜。そういえば、そちらの管理人さんにあなたが女の子だって伝え忘れていたかもしれないわねぇ』
 伯母さーん・・・。
 「忘れないでくださいよぉ・・・」
 『ごめんなさいね〜。絢花ちゃん、その男の子たちと一緒に住むのは嫌なの?』
 「嫌というか、何というか」
 『まあ、可愛い絢花ちゃんがその子達に襲われちゃう可能性だってあるけどこれもいい経験だと思うわ!絢花ちゃん、今まであんまり男の子と関わったことってないじゃない?これを機に、ちょっとは男の子たちと話せるようになりなさいね〜』
 「えっ」
 『じゃあ、私今晩ごはん作ってるところだから!バイバ〜イ』
 プツッ、と電話は切れてしまった。