地味子、学校のイケメン二人と秘密の同居始めます！

　「一応そうだよ。魁吏と一緒にね」
　あああ、やっぱりそうだよな〜・・・。
　真白さんの肯定の言葉にため息をつきたくなる。
　「何がどうなっているのかはわからないけど、立ち話もなんだし取り敢えず中に入ろうよ」
　「ありがとうございます・・・」
　真白さんの一言で、私はやっと家の中に入ることができた。
　黒江魁吏にはずっと睨まれていたような気がするけど。


　「なるほどねぇ〜」
　テーブルの向かいの席に座っている真白さんに事の顛末(てんまつ)をすべて話す。
　シェアハウスの中の共有スペースでもあるらしいリビングはこざっぱりと片付けられていた。
　私と真白さんは木でできたテーブルを挟んで向かい合って椅子に座っている。
　黒江魁吏は手を洗うとさっさと自分の部屋に行ってしまったようだ。
　「僕は別に君がここに住むことには反対しないんだけど。君はどうしたい？」
　「申し訳ないんですけど、多分すぐに出ていくことはできないです。荷物だって運んでしまってるし」
　「わかった。じゃあ、ここに住むということで話を進めよっか」
　本当に紳士的だなぁ。
　物腰も柔らかいし、こんな私にも丁寧に接してくれるし。
　この人なら女の子にモテるのは納得できる。
　どこかの誰かとは大違いだ。
　初対面の人に「ブス」とか「地味」とか「ストーカー」とか言う人とは全然違う。
　失礼の塊のような人とは。
　「このシェアハウスには僕と魁吏の2人で住んでいたんだ。後でまた案内するけど、一階には基本共有スペース。リビングとか、お風呂とかね」
　ぐるっと部屋の中を見回してみる。
　本当に広々としていて、なかなかに家賃が高そうだ。
　なんだか天井の照明もオシャレだし。
　きっと、奥にあるあの扉の先が脱衣所とかお風呂になっているんだろう。
　「で、二階がそれぞれ個人の部屋になっているんだ。階段を上がって手前から僕、その向かいの部屋が魁吏、そしてオーナーの話だときっと君の部屋は魁吏の隣の部屋だと思う」
　黒江魁吏の・・・。
　「・・・本当に、ここでやっていけるのかな」
　思わず、そう言ってしまっていた。
　言ったあとに、自分がなんて言ったのかを理解して「あ・・・ごめんなさい」と謝る。
　「あはは、まあそう不安に思わないで。確かに魁吏はあんなのだけど根は悪いやつじゃないんだよ。何かわからないことがあったら僕だってサポートするし」