『胸へのキス』



午後2時頃,パチッと目を開けると,隣には彼がいた。

お昼寝,添い寝,そういう類いのもの。

天気が良く温かいと,時々こうして一緒に寝たりすることがある。



「…ぅん?」



ゆさゆさと彼を揺り起こすと,彼は寝ぼけた頭で目を開けた。

そして私の足に自分の足を絡めると,ぎゅっと私に抱きつく。

今日はやけに寝ぼけているな。

私は不思議に思った。



ーほら,そろそろ起きないと



私は彼に声をかける。



「もうちょっとだけ,じっとしてて」



彼はふわふわとした声でそう言うと,さらに私に近づいて,私の胸にキスをして顔をうずめた。



ーちょっと? もぉ~



彼は全く起きようとしない。

まぁ,いっか。

私は諦めたように笑うと,そのままそっと目蓋をおろした。


      ー『所有したい·独占したい』