『腕へのキス』
寝起きの彼は,案外ふにゃふにゃとしている。
私はそれを,最近知った。
「コーヒー,飲むでしょ?」
そんな彼のためにコーヒーを入れて,彼の前の机に置くと,彼はコクリと頷く。
それを確認して,私は彼のとなりに座った。
彼は私の肩にこめかみを当てるようにしてもたれ掛かる。
可愛い,と密かに思えば,彼は彼からみて奥にある私の腕を引き寄せると,その二の腕にキスをした。
驚いて目を見張ると,彼はそのままその肩に額を乗せる。
「なんか,いい匂いする」
ーそっそうかな
「うん。いつも」
思わず上ずった声で聞けば,彼は頷いた。
どんな匂いなんだろうとこっそり自分の髪の毛や手首を嗅いでみても,特に分からない。
「何て言うか……近づきたくなる」
そう彼に言われて私は,取り敢えずシャンプーなど思い当たるものは全てかえないでおこうと思った。
ー『恋慕の情』
寝起きの彼は,案外ふにゃふにゃとしている。
私はそれを,最近知った。
「コーヒー,飲むでしょ?」
そんな彼のためにコーヒーを入れて,彼の前の机に置くと,彼はコクリと頷く。
それを確認して,私は彼のとなりに座った。
彼は私の肩にこめかみを当てるようにしてもたれ掛かる。
可愛い,と密かに思えば,彼は彼からみて奥にある私の腕を引き寄せると,その二の腕にキスをした。
驚いて目を見張ると,彼はそのままその肩に額を乗せる。
「なんか,いい匂いする」
ーそっそうかな
「うん。いつも」
思わず上ずった声で聞けば,彼は頷いた。
どんな匂いなんだろうとこっそり自分の髪の毛や手首を嗅いでみても,特に分からない。
「何て言うか……近づきたくなる」
そう彼に言われて私は,取り敢えずシャンプーなど思い当たるものは全てかえないでおこうと思った。
ー『恋慕の情』