やっぱり陸の様子がおかしい。……今までそんなこと聞いてきたこと、なかったのに。

「……陸?」 

 何も言わない陸に体ごと視線を向けると、陸は左手で私の頬にそっと触れてきた。

「……茉由、俺茉由に言いたいことがあるんだ」

「言いたい……こと?」

 何? 私だって陸に、言いたいことあるよ。
 陸に【好きだ】って伝えたいよ。……この一言が言えたら、こんなに苦労しないのに。

「ああ。……茉由、好きだ」

「………。え?」

 ーーー信じられなかった。その言葉が、まだ信じられない。

「茉由のことが、好きだ」

「……っ」

 あれ……?何でだろう……。
 何で、何で私は泣いてるんだろう……?

「茉由……? はっ!?なんで泣くんだよ!?」

 私が流す涙を見て、陸は慌てていた。

「っ……陸っ……」

「茉由、ちょっと待っ……っ!?」

 私は思い切り、陸に抱き付いた。

「陸、私も好きっ……。陸のこと、好き……」

「……え?」

「気付くの遅いよ、バカ……。陸のバカ……」

 私はずっと陸のことが好きだった。ずっと好きで仕方なかった。
 陸は私のことなんて、興味がないと思っていた。それなのに……。

「ごめん、茉由。……もっと早く、伝えるべきだったな」

 陸は私の頬に両手で触れると、私の頬に伝う涙をそっと拭ってくれる。

「っ、ずっと待ってたんだから……」

「ごめんな。待たせて」

「ううん……っ」