臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

「何? あるの」

「な,い。ただの友達」



本当に。



「はぁ,知ってる」

「え?」

「グレーゾーンだけど,みおに興味が無いことなんて一目瞭然だから。じゃないと全力で邪魔してる。まぁ今もだけど」

「どういう意味?」

「知らなくていいの」



ゆるりと解けていく拘束。

もういいのかと思えば,ふわりと抱き締められた。



「みおは,絶対あげない」



ードクン

心臓が大きく跳ねる。

これは,なんのおと…?

もう一度聞きたくなる。

澪,どういう意味?

抱き締める延長で髪に触れる澪。

妙に掠れた声が私の耳に届く。




「髪も乾かして。格好に気を付けないと……もう知らないから」

「…うん」



どういうこと?

返事をしつつ,なにも分かってない。



「おやすみ,みお」

「おやすみ,澪」



私達はゆっくりと,その体を離した。

部屋に戻った私は,深い眠りにつく。

あ,澪に映画の話,し忘れちゃったや。

そんなことを,思いながら。