臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

私は受け取って,目元にそっと当てた。



「ごめんね,ちょっと慣れてなくて,上手く入らないの」

「そっすか。目,痛いんですか? 俺達先始めてるんで」

「うん。ありがとう」



ペコリと頭を下げただろう夾くんが,男子らしい足のはやさで走っていく。



「はぁ」



何か言いたげな雫のため息が,私達の間に落ちる。

私はなんとも言えずに「ありがとう」とハンカチを返した。



「ほら,もう行っていいよ。夾くん以外も待ってるだろうから」

「え,雫は?」



行かないの?
行こうよ。



そんな気持ちで手を伸ばす。

けれど,ゆるりと手を振った雫は,いかないと言う。



「じゃ,じゃあ,またね?」

「うん」



雫がうんと笑ってくれたのに安心した私は,その場を後にした。

―雫が何て言うのか,聞きたかったな。