臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

語尾を萎めた雫は,どこか悔しそうに唇を噛む。

澪,が?

だって,そんなのこと,澪は一言だって…

でも…確かに。

最近機嫌が悪いことだけは知っていた。

だけどそれを,私が勝手にいつもの事だと思っていただけなのだろうか。

だって,時間があれば澪はいつも私のところに来てくれたんだもん。

サッカーが終わったら,1番に来てくれた。

笑顔でお帰りと出迎えてくれた。

それもこれも

『義姉の恋愛』

として,澪が容認し,我慢していたからなの?

何かが,私の中で,内側から崩壊していく感覚がする。

こんな痛みを,私は知らない。

澪の事は,やっぱり,雫が1番見ている。

ずっと前から知っていた。

一緒に住んでいるだけじゃ,埋まらないものがあること。

やはり私たちは,義理だろうとなんだろうと,世間でも澪の中でも姉弟だと言うこと。